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審決取消等の訴訟で在外者に対し担保提供の申し立てをする運用が始まっております 2022-03-16
 弊所の2022年年初から直近数か月間の経験によりますと、審決取消訴訟が提起された際に従前とは異なる運用の動きが出ていますので、皆様ご注意願います。

 それはすなわち、
 (1) 審決取消訴訟が提起されると、確実な訴訟費用回収のために、被告である特許庁長(特許庁長官)が原告側に対して担保を立てるよう特許法院(裁判所)に申立てを行い始めました。この申立てに対して裁判所から決定が出ますと、原告側は担保として数百万ウォンの現金又は証券を裁判所に供託するプロセスが新たに発生しています。
 また、
 (2)前記「審取」で被告側勝訴、原告敗訴の場合、特許庁は、判決主文に従い、前記供託金の中から特許庁が訴訟に要した費用の確定手続きを裁判所に申立て、費用確定後に、実際に原告側に回収を行っています。
 
 根拠法は、韓国内に住所・事務所・営業所を有しない者に対して裁判所は、被告の申立てにより、決定で、担保を立てるよう原告に命じなければならない、とする民事訴訟法第117条です。

 担保提供の前記根拠条文は1960年7月の韓国・民事訴訟法の制定・施行当初から存在しておりますが、当事者系は別として、決定系(査定系)の特許裁判で実際に担保提供の申立てを受け、または、判決文に従い、過去に韓国特許庁から訴訟費用の請求を受けたことは過去に一度も例がありませんでした。2022年になって突然、在外者に向け一律にその運用が始まったため、背景が気になりますが、弊所のみならず韓国において2022年以降の審決取消訴訟の事例が少ないせいか、特許庁側から全体に向けての情報の発信は今のところありません。

 ただ、個別の問い合わせに対して受けた回答は、行政機関が勝訴した事件の訴訟費用の未回収・放置は、腐敗行為に該当する、とした国務総理直属機関「国民権益委員会」の2021年10月の「議決」があり、同委員会はこの議決に基づき、政府行政機関に対して、訴訟費用を回収するように、とした勧告に従ってのもの、とのことです。このため韓国特許庁のみならず他の行政機関でも、勧告に従い、行政庁側が要した裁判費用の回収に動いているようです。その勧告内容はここ(https://www.acrc.go.kr/board.es?mid=a10402010000&bid=4A&act=view&list_no=10165)で見ることができます。

 上記の勧告の趣旨から読み取るならば、行政庁の昨今の動きは、前記(2)が運用のメーンであり内外一律に、(1)は在外者に対してのみその確実な回収のための付随的な手続きあると思われます。

 弊所の年初からの経験では、実際に請求される訴訟費用の内訳は、裁判段階で特許庁が被告として裁判所に提出した公知文献の翻訳費用が主で、その他は裁判出廷の交通費、送料その他の付帯費用で、その内訳全体は決して不合理なものではありません。また、請求がされた後に不服を申し立てる手続きも案内として添えられています。立場を変えるならば、今後、勝訴した原告側は名実ともに堂々と韓国特許庁に対して訴訟費用の請求をできるもので、弊社では現在、まず特許庁の運用の傾向を慎重に見極めつつ、しかるべき対応を練ろうとしているところです。

 引き続き弊所では、最新の経験や入手した情報を随時、個別の事件でのご案内やこのニュースレター等で皆様と共有して、日本の出願人・権利者・代理人様の利益を守るべく対応してまいりますので、皆様に置かれましては、審決取消訴訟をご検討の際には上記の点を念頭に置いていただけますようお願い申し上げます。【了】
   
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