Home > プレスルーム > 判例報告・研究等
 
題目 登録日
「商号」と「商標」の衝突 現行法上での解決に限界露呈 2008-10-21
 東部住宅建設(株)と東部建設(株)はともに建設会社で、マンションの建設・販売等を行っている同業他社。東部住宅建設の展開するマンションブランドは「東部ブリアント」、東部建設は同「東部セントレビル」。その両社が繰り広げた法廷争いでソウル中央地裁は2008年10月1日、東部住宅建設の「東部ブリアント」が自社登録商標の「東部セントレビル」を権利侵害しているとして東部建設が東部住宅建設を相手取って起こした商標権侵害禁止などの請求訴訟で原告の訴えを退けた。

 これに先立ち東部住宅建設は東部建設などを相手取り、東部の名称が入る商号を法人登記簿から抹消するよう求める抹消登記手続履行請求訴訟を起こし、同地裁は8月、原告の訴えを退けていた。
 同地裁は、商号としての「東部」と登録商標としての「東部」の使用による両社の訴訟合戦に痛み分けの裁きを行った格好だが、当人らは釈然とせず、こうしたケースに対する法の限界を露呈させた感がある。現行法で明示上の解決規定がない「立法不備」状態であるためだ。

         ※

 東部建設が提起した今回の商標侵害禁止事件でソウル中央地裁は、「アパート(注)が分譲や取り引きされる場合、アパート施工者の『セントレビル』、『ブリアント』というサービスマークと『東部』や『東部住宅』といった施工者の商号または略称を共に使用することが現在の取引慣行だ」として、「消費者は該当アパートをサービスマークそのものと認識したりサービスマークに施工者の商号または略称を共に使用した形態と認識するもので、施工者の商号だけでの認知はしないもののようである」とした。

 同地裁の判断はすなわち、一般人らは「東部セントレビル」あるいは「セントレビル」と称する東部セントレビルのマンションを「東部」とは呼ばないと、いうものである。これは商標の文字そのもので類似可否を判断したこれまでの判決の流れから踏み込み、市場での取引慣行を考慮したものである。

         ※

 これに先んじ東部住宅建設が提起した商号抹消登記手続き履行請求訴訟で同地裁は、「東部住宅建設の商号と東部建設の商号が同一でないことは、その外観・呼称において明白である」とし、「商号がお互い明確に区分できない程度なのかを判断するにあたっては原則的に商号を構成する全体文字により生じる外観、呼称または観念により判断しなければならず、商号中の重なる部分の「東部」だけで各商号の同一性は判断することはできない」との判断を示した。

 したがって個々の判決文上では全く衝突が発生しないものの、2つの判決はお互い矛盾した結果を産んだ。

 裁判所関係者はこれについて、「通常、法規上のコンフリクトが生じた時は一般に新法優先原則、特別法優先原則が適用されるが、商法上の『商号』と不正競争防止法上の『商標』が衝突した場合はどうすればよいかという部分はまだ解決されず残っている」と困惑している。

注:日本のマンションに当たる高層住宅を韓国では「アパート」と呼ぶ。
 
Tel. 82-2-556-8224∼6   Fax. 02-556-5377